新型PS3 “CECH-3000B”にPS2互換機能搭載?恐るべし機械翻訳の恐怖
6月20日にCECH-3000Bの型番を持つ新型PS3 Slim 320GBが発表されましたが、実は海外サイトではこの新型CECH-3000Bに「PS2互換機能が搭載されている」と大きな話題となっていました。情報元がソニーの公式サイトだというので結構な大騒ぎになっていたようです。
私が初めて新型PS3CECH-3000BにPS2互換機能搭載というニュースを見たのはTantaiCBSでした。
New Slim PS3 Model Will Features PS2 Backward Compatibility?
新型SlimモデルにはPS2互換機能搭載か?Surprise, surprise, after my report earlier on the brand new CECH-3000 model, i missed some bits of interesting piece on Sony’s Japan official website. Recently, a report has discovered an added PS2 compatibility feature on the translated page of the new PS3 slim console.
ビックリビックリです。新型となるCECH-3000Bモデルについてはお伝えしましたが、日本のソニー公式サイトに書かれていた大切なことを見逃していました。この新型PS3 Slimの翻訳ページには、PS2互換機能があると書かれていることが分かりました。
そう書かれていたら、日本のその公式サイトを見てみるのは当然です。
CECH-3000Bモデルの下の方に書かれているというそのビックリ機能についてはこのように書かれていました。
「※本製品は、「プレイステーション 2」専用ソフトウェアとの互換性を有しておりません。 」
有しておりません
有しておりません
有しておりません
有しておりません
この時点でそんなこと書かれていないと日本人なら気が付きますが、「翻訳ページに書いてある」と書かれているので試しにGoogle翻訳で英訳してみました。
この翻訳英語を日本語にしてみると以下のようになります。
※ This product, “PlayStation 2” are having a compatibility with proprietary software.
※本製品、「プレイステーション 2」は専用ソフトウェアとの互換性があります。
日本語にすると???ですが、この英文
This product, “PlayStation 2” are having a compatibility with proprietary software.
をおかしな翻訳をしたのだと解釈し
This product have a compatibility with “PlayStation 2” proprietary software.
本製品は「プレイステーション 2」専用ソフトウェアとの互換性があります。
となり、新型PS3 SlimがPS2互換機能を持っていると公式サイトに注釈に書かれていることになってしまいます。
ここからPS2互換機能があるという解釈となり大ニュースとなって海外で広まったようです。
本来であれば、以下のように英訳されるべきです。
This product doesn’t have a compatibility with “PlayStation 2” exclusive software.
明らかな誤訳に基づく情報だったようです。現在はすでに誤訳であることが分かったため「互換性あり」と伝えた世界中のニュースサイトでは訂正が入っています。
「有している」
という日本語がきっと誤訳の原因なのではないかと思い、少し調べてみました。同じような日本語の文章をGoogle翻訳で英語に訳してみます。
原文は
本製品は、「プレイステーション 2」専用ソフトウェアとの互換性を有しておりません。
This product, “PlayStation 2” are having a compatibility with proprietary software.
Androidは、「iOS」専用iPhoneとの互換性を有しておりません。
Android is, “iOS” not equipped with compatible only with the iPhone.
ちょっと変ですが、notが入っているので互換性があるとは誰も思いません。誤訳しないので原文と異なりそうな部分を変えていきます。
- アンドロイドは、「iOS」専用アイフォーンとの互換性を有しておりません。
Android, “iOS” not equipped with compatible only with the iPhone.
AndroidもiPhoneもきちんと英訳するので立派です。notも出てきていますので互換性のあるという文意にはなりません。
アンドロイドは、「アイオーエス」専用アイフォーンとの互換性を有しておりません。
Android, “I Pseudorabies” are having a compatibility with only iPhone.
来た!notが無くなりました。互換性があると読める文章に変身です。
余談ですが、「アイオーエス」が”I Pseudorabies”という訳の分からない英訳がされましたが、アイがIはともかく、Pseudorabiesは調べると「仮性狂犬病、オーエスキー病」とあり、このオーエスキー病がどうも原因みたいです。
どうも「」内の言葉で翻訳が左右されているようです。
試しに「」内を変えてみます。
「プレイステーション 2」ではなくプレイステーション、プレイステーション 3にしてみましょう。
- 本製品は、「プレイステーション」専用ソフトウェアとの互換性を有しておりません。
Product, “PlayStation” are having a compatibility with proprietary software.
PSOneの互換性はあるので大丈夫みたいです。
本製品は、「プレイステーション 3」専用ソフトウェアとの互換性を有しておりません。
This product is a “PlayStation 3” and not equipped with dedicated software compatibility.
PS3はダメみたいです。
実際に互換機能が世の中に存在しないPS3だけは英訳しても互換機能は現実に存在しないことが分かっているようです。
今度は「プレイステーション」を「PlayStation」に置き換えてみました。すべてnotが出てきます。どうもカタカナに問題があるようです。
- 本製品は、「PlayStation」専用ソフトウェアとの互換性を有しておりません。
This product, “PlayStation” and not equipped with dedicated software compatibility.
本製品は、「PlayStation 2」専用ソフトウェアとの互換性を有しておりません。
This product, “PlayStation 2” and not equipped with dedicated software compatibility.
本製品は、「PlayStation 3」専用ソフトウェアとの互換性を有しておりません。
This product, “PlayStation 3” and not equipped with dedicated software compatibility.
なんとなくの感触ですが、日本語の翻訳エンジンにPS3のPS2/PSOne互換というのが盛り込まれていて、その翻訳エンジンのアルゴリズム(PS3にはPSOneとPS2への互換性がある)が誤訳を生み出したのが原因のような気がします。それはそれで立派なアルゴリズムだから拍手しないといないのかもしれませんが、機械翻訳を利用する際には事実に基づく環境が考慮されてしまうため、時には大いなる誤訳を導きだすことがあるため注意が必要です。