欧州でPSNコンテンツを店舗販売へ、いずれ日本でも?

CVGで、英大手ゲーム販売店のGAMEがソニーとパートナーシップを結び欧州内の実店舗でPSNコンテンツを販売することを発表したことを伝えていました。欧州での現状を統計から導き出し、日本でもPSNコンテンツの店舗販売が始まるのかどうか考察してみました。

GAME_UK

GAMEの発表では本日より一部の店舗でダウンロード販売されているゲームや追加コンテンツなどを販売し、9月半ばには英国内の全620店舗で50タイトルを販売、その後欧州全体に拡大して行くそうです。

GAME CEOのIan Shepherd氏はデジタル戦略における重要なステップだとし、物理メディアによる販売とデジタルタイトルによりワイドレンジな品揃えが可能になるとコメントしています。

「消費者により多くの選択肢を提供することでオンラインでの入手と比べてもより多くのアドバイスを提供でき、SCEEとのパートナーシップによりゲーム分野で幅広い価値を提示することができる。SCEEとGAMEとのパートナーシップは欧州全体において密接で息の長い関係に繋がり、両社にとって迅速革新的な行動をもたらし、より素早く消費者に新しいサービスや製品を提供できる」

一方SCEEの幹部である販売広告開発担当Robert Fisser氏は欧州全体で6000店舗を有するGAMEグループとの提携によりPSNコンテンツの素晴らしさを350万人の顧客へ毎週伝えることができ、新規顧客に対してデジタルゲーム販売への注目度を増すことができるとして提携を歓迎するコメントをしています。

ゲームタイトルのデジタルダウンロード販売は小売店舗や流通に必要な経費が本来不要であり、ユーザーにとってもコンテンツを安価に購入できるメリットがあります(その割にはソニーのPSNでの価格設定は高めですが)。

ソニーにとっても直接販売できることで利益確保と消費者動向の直接入手が可能になり、ユーザーにとっても直販で安く購入できることがメリットだとばかり思っていました。今回のGAMEとの提携はソニーのネットワーク販売方針転換として映ります。

もしかして、PSNでの販売が思うように上向いていないのでしょうか?

欧州全体でのPSNアカウント数と販売台数を比較すれば何か分かるかもしれないと思い、調べてみました。

ファミ通.comにPSNからの個人情報漏洩時のアカウント数データが掲載されていたので見てみます。
PlayStation Networkのアカウントは
1:日本 (742万7038アカウント)
2:アメリカ (3114万307アカウント)
3:カナダ (352万4227アカウント)
4:イギリス(929万6317アカウント)
5:フランス (470万1424アカウント)
6:ドイツ (323万3800アカウント)
7:スペイン (298万2592アカウント)
(被害にあった)アカウント合計は約7700万アカウント

欧州全部の数字ではありませんが、近似値ということにして4:から7:を足すと
2021万4133アカウント
です。
実は足していない日本とアメリカ、カナダも足した総合計は6230万5705アカウントとなり、総数の7700万と比べると1469万4295少なくなっています。上記7カ国以外の数字が入っていないためです。

今度は欧州全体のPS3販売台数を見てみます。
といっても最新の数字はどこで調べれば良いのか分からなかったため、VGChartzで調べてみます。出てきたのはEMEAA(Europe Mid East Africa Asia、要するに欧州および中東/アフリカ/日本を除くアジア)の合計です。

emeaa_totals※2011年8月15日調査

EMEAA合計では2470万台となっています。

先ほどのPSNアカウント数で7700万と比べると1469万4295少なくなっていたことは述べましたが、その中には販売台数にはカウントしている欧州の残りの国や中東/アフリカ/日本を除くアジアが含まれています。

ただ、その約1470万を欧州全体のアカウントと足し合わせるとPS3の販売台数超えるんですよね。そこで気が付きました。PSNのアカウント数はPS3だけではないと…

そこでPSPのEMEAAの販売台数2900万台をPS3の2470万台と足し合わせてみます。するとPS3/PSP販売台数合計は5370万台。
EMEAAのアカウント数と推定されるPSNアカウント数は2021万4133 + 1469万4295 = 3490万8428

EMEAAでのPSNアカウント所有率は計算すると65%です。

もちろん欧州以外の国も統計には含まれていますしPSPとPS3両方を持っていたり複数台所持していてもPSNアカウントは1つという場合も多いので一概にPSNアカウント所有率が65%とも言い切れませんし、アカウントだけは持っていても実際には使っていないユーザーもいますが、この数字から分かることとして、少なくとも65%のユーザーがPSNアカウントを所有しているとは言えるでしょう。

つまり、主に欧州のユーザーのうち35%がPSNアカウントを所有していないことになります。

インターネット環境があり通信販売でゲームを購入しているようなユーザーであればPSNへは単に登録するだけで済むため、この35%のユーザーはゲームを主にGAMEのような実店舗で購入していると考えて良いでしょう。

SCEEのRobert Fisser氏が狙っている新規顧客はこの35%であり、SCEEであれば数字を把握しているであろうアカウントだけ持ってて何も買わない”幽霊PSNメンバー”を顧客として迎え入れるための戦略がどうやら今回のGAMEグループとの提携のようです。

同じ計算をアメリカで行うと、PSNアカウント所有率は73%になります。

日本ではどうでしょうか。
japan_totals※2011年8月15日調査
販売台数はPS3が690万台でPSPが1780万台で合計2470万台
PSNアカウント数は742万7038
PSNアカウント所有率は30%です。
これもPS3とPSP両方所有していてアカウントは1つというユーザーもいますので(私がそうです)必ずしも30%の所有率とは言えませんが、ここで明らかなのは

日本は欧州に比べてPSNアカウント所有率が半分にも満たない

ということです。

新規顧客獲得のためSCEが北米ではなく欧州でPSNコンテンツの実店舗販売を始めたのは北米ではアカウント取得率が高いためであり、更に欧州でデジタルコンテンツの店舗販売が軌道に乗れば次は最もアカウント取得率が低い日本でPSNコンテンツの店舗販売が始まるかもしれません。

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