Wii Uはなぜ株価が下がる程低評価なのか
Wii U発表後に任天堂の株価が下落し、市場が任天堂に落胆したことを示しました。
Wii後継機への期待に応えた内容がWii Uになかったという評価だけでなく、E3で3DSに対するサプライズ発表が殆どなく3DSへの評価を高めるような提案がなかったという一面もあったでしょう。
しかし、E3で発表こそされなかったもののWii UのGPUはPS3/Xbox 360より新しいDirectX 10.1世代SM4.1対応のRADEON HD4000系であり、実はグラフィック性能は印象程悪くないどころか既存のゲーム機の中でも新しいだけあって最新鋭の高性能といえるのです。
にもかかわらず株価が下がった=評価が低かった。
3大ゲーム機メーカーの中で、一番売れているにもかかわらず今やテレビに標準装備されているHDMIを唯一持たないというHD非対応のWiiの弱点を補うべく開発されたWiiの後継機「Wii U」。
市場の要求に応えたはずのWii Uに期待値が上がらないのは何故でしょうか。
PS3は2006年、Xbox 360は2005年発売です。
もちろん5〜6年昔のマシン、つまりPS3やXbox 360より劣るようなもの、ないしは同等性能のものを今更わざわざ出すほど間抜けなことはないでしょうし、DirectX 10.1世代のRADEON HD4000系といっても2008年にリリースされたGPUであり、普通に現代のチップを使う戦略なので先進的なことをしている訳でもなんでもありません。
更にモデルチェンジ間隔が短いPCでは、2009年に発売されたWindows 7の時点でDirectX 11世代SM5.0への移行が行なわれているようですので、Wii Uが最先端ということもありません。
グラフィックが高性能というイメージのあるPS3ですが、GPUのアーキテクチャ的には2005年のGeForce 7800系であり、Wii Uの方が3年分新しいといえます。PS3は発売当時ですらかなりのコストを掛け過ぎた感がある程何年先をも見越したハイスペックマシンでしたので2011年の今でもスペック的に劣るものはないと誰もが感じているでしょう。そのPS3の3年先の技術であれば落胆されるような内容になりようがありません。
WiiからWii UへのモデルチェンジによってHD化を果たし、市場の要求である念願のHDMI対応やハイビジョンテレビでのゲームプレイが実現するのです。
それにも関わらず、評価は思わしくありません。
正直に言うと、事前にWii後継機に対して様々な情報、憶測が流れ、期待に胸膨らませてE3でのキーノートを聞いた後、Wii Uの存在感が大きく…なりませんでした。
なんだ、HD出力に対応してコントローラーにタッチパネル付いただけであんまりかわってないじゃん、と受け取ってしまったからです。
私自身、そう受け取ってしまった理由は3つあります。
1つ目は、タッチパネルが付くというのが事前情報の話題の中心ではあったものの、E3のキーノートで明けても暮れてもコントローラーの話に終始したこと。
2つ目は、RevolutionがWiiになったように、事前に話題となっていた「Project Cafe」というコードネームからどんな名称が出てくるのだろうという期待を完全に裏切る”U”付いただけのWii Uという名称。
そして3つ目は、事前にリークされていたタッチパネル液晶が付いたコントローラーという情報そのものでキーノートが終了してしまったこと。
このうち、一番問題だと思われるのは3つ目に挙げたコントローラーの形状です。
事前に6インチ程度のタッチパネルが搭載されていると聞いて、タブレット端末のようなものがそのまんまコントローラーになっていたら操作しにくいだろうと考えました。
iPadでゲームをプレイしたら重くて疲れましたので。
ですから、タブレット端末形状であるはずがない、と当然のように考えていました。
きっと誰もがそう思ったのでしょう。ですからこんな予想画像が出回ったのです。
今となっては上記予想図は完全に希望的憶測に基づく想像図だと分かります。希望的憶測、そうです。つまり、みんなこれを待っていたのです。
それが、フタを開けたらあり得ないiPad形状だった訳です。
しかも、E3での発表はiPadだけで押しまくるという(ユーザー視点で表現すれば)任天堂の失態。
肝心のHD対応そっちのけです。
なんだ、HD出力に対応してコントローラーにタッチパネル付いただけであんまりかわってないじゃん、みたいな受け取り方しませんでした?Wii Uに。
更に問題なのは3DSもWii Uもそうですが
「キープコンセプト」
であるだけでなく、Wii U本体の話については実物もスペックも全く強調することなく流してしまったため、あり得ないコントローラー一本槍で見た目に「キープコンセプト」を感じさせてしまったのが低評価の最たる理由です。
PS3やXbox 360は本体自体に存在感があります。
ゲーム機には本体の存在感と所有欲は大切なファクターです。それがWii Uでは希薄過ぎるのです。つまり、現在の価値観とはマッチしていないということです。
もちろん数年先にはコントローラーこそ主役という時代が来るかもしれませんが、少なくとも今は、そして今の私には本体の存在感は大切です。
そして3つ挙げた理由に共通することとして、すべてが事前にリークされていた情報と紐付いていたことが挙げられます。
つまり、事前情報そのまんま、サプライズなし、ということです。
Appleのように事前にリークされていても話術で「リークされていた話が今ここに!」的な発表をしただけでも相当印象が変わってくるでしょう。サプライズ機能をさもサプライズであるかのように発表するのもAppleが得意とするところです。
任天堂がAppleのiPadやiPhoneをライバル視するのは構いませんが、安価な、あるいは無料のゲームの質を非難し、ゲーム機のコンテンツとして高額価格で売るゲームの質を宣伝してライバルを駆逐することが必要なことではなく、本当に必要なことはスティーブ ジョブズのような戦略的話術の研究だと思います。スティーブ ジョブズのようなカリスマ性は真似できないとしても。
ちなみに余談ですが、Appleの評価が高いかのような文章に思われるかもしれませんが、Appleはスティーブ ジョブズがキーノートに立てなくなったら多分Appleの時代は終わります。PowerPC Mac時代のように…
つまり、製品の魅力よりも、話術。任天堂が見習うべきところです。
「キープコセプト」になっている箇所が…
「WiiからWiiUになってパワーアップした要素」が
「既に5年前のハード達が全部やってる事」というのが冷めた反応を受けてる原因でしょうね
「シェアNo1の任天堂がやる事に意味がある」としても
「横からシェアを攫ってしまおうと横着してるだけ」と更に冷たく見られている向きもありますし
で、「性能競争というチキンレースには付き合えないから独自の道を行く」
という姿勢を取るのは自由なんですが、そこから新たに搭載したデバイスで
何をするのか?というビジョンが最近の任天堂からは全く見えて来ないんですよね正直
肝心のメインである6インチ液晶パッドもWLANを介せば本体を母艦としてちょっとしたiPad代わりにでも使えるのかと思っていたんですが、出てきた情報では「基本的に部屋の中だけでの通信が限度。家の外では3DSを使って欲しい」という経営上の理由丸出しな制限事項でしたし…
家の中でも3DSを使っている人としては一体どうすればいいデバイスなんでしょうかね
うーん…一体どうなる3DS&WiiU…
結局最後はいつものマリオ&ポケモンハードになってしまうのか
@とりさん
誤字失礼しました。
最近任天堂は堅い商売しかしないんですよね。
どうもWii Uの発売は1年先らしいのでまだコンテンツの方向性が見えていない今の段階では具体的な提案が(もし発売時に間に合わないとヤバいから)できないのかなぁと思ってます。
バイタリティセンサーの話題をこれっぽっちも出さなくなったところにも似たような石橋叩く戦略があるのではないでしょうか。
事前にコントローラーの代わりに3DS使えるというのがありましたけど、本当はそれくらいのサプライズをやってほしかったです。実は3DSに機能盛り込んでましたごめんなさいだから高いんです的な。
で、おっしゃる通り最後はやっぱりマリオ&ポケモンでしょうね。
ハッカーの視点からすると、どうなんでしょうね。
やっぱり誰もハックしておらず、かつ簡単そうなNGPの方が3DSより人気が高い(あくまで憶測です)のように、ハイスペックな自作ソフトが作れるから、PS3でいいやと思うんでしょうか?
リアルにこちら(3DS)に優秀なハッカーがいないので、PSPが売れている理由が改造が可能であるからとするならば、Wii Uもハッカー不足になってしまうんでしょうか??
自分は3DSやWii Uに対してそれほど批判的ではありません。
タッチスクリーン付きコントローラというのは面白いと思います。iPhoneにコントローラが付いたら…というのは誰もが思っていたことです。たしかに既存の技術の組み合わせではありますが、その組み合わせによって新しいものを作り出す、ということは任天堂の得意とするところでもあります。
重量に関しても、iPadは重たいですが、それよりスクリーンサイズが小さいスレートPCは軽いです。PSP-1000の重さに誰も文句を言わないように、出たら出たで重さに関する文句は収束するのでは、と考えています。
最終的な結論としては、いきなり飛躍しますが、やはり「マリオが出れば売れる」というところですね(笑)。
@Matyapiroさん
セキュリティが強固であるほどハッカーは群がるのでしょうが、強固になり過ぎてくると限られた技量を持つ者だけしかできなくなるので少数になるのはやむを得ないのでは?
PS3がそうだったように、誰かが少しの突破口を一度開けば雪崩のように一気に落ちていくことは間違いないでしょうが、突破口が開かないうちに大勢のハッカーが取り組むことはあり得ません。
@KY100percenさん
Wii Uのコントローラーは実際に持っていないので感覚的に分かりませんが、画面サイズは1インチ大きいだけのドコモのGALAXY Tabはちょいと重いスマートフォン2台分の382gで大したことなさそうですが、持つとずっしり来て「重っ」と感じます。
重くても楽しめそうなコンセプトを提案してもらえれば楽しみに待てるのですが、如何せんタブレットっぽい端末でできること想像してみた範囲を超える凄い提案があるかどうか分からないので評価のしようがありません。
少なくとも「テレビが映らなくてもゲームがプレイできる」ことに魅力は感じません。
・タッチパネルは既に7年前、DSで実装されているので目新しさが無い。
・コントローラーが操作しづらそう。あれじゃせっかくモーションセンサー付いててもWiiのような体感ゲームはやりづらいだろう。
・名前に捻りが無さ過ぎる。もうちょっと何か思いつかなかったのか。
・他社が何年も前から搭載していたHD機能を今更搭載。完全に周回遅れ。
・E3の発表からはイマイチ魅力を感じない。
・価格がどう考えても高過ぎる。PS3のようにメディアプレイヤーとしての機能が豊富ならまだしも、ただのゲーム機に2万5000円以上は払えない。
それに子供は手が届かない。
まあ、株価が下がるのも分かる気がします。
自分も正直「…。」と思いました。
まぁ何だかんだ言ってもゲーム機好きならWii U買うと思います。
全世界でWii世代だった子供もソフトや機器もそのまま使えるなら乗り換えると思う。日本は高齢で独身男性が多いのでWiiは子供のゲーム機だと思っている方が多いような感じがする。
「Wii Uは現行HD機の性能を劇的に上回る事は無い」そうですね。
現状はPS3やXBOX360のグラフィックに不満はないし、グラフィックを追求するならPCしかないのではと思う。
2画面をDSと同じと語る人がいるけど、テレビ画面とコントローラ画面を重ねて遊ぶ事も出来るし自分はE3を見て面白いと感じたけどな。
DSのニンジャガみたいに呪文をタッチパネルをなぞるRPGとか出るでしょうね。
メタルギアならコントローラ画面を使って通信やナビをするだろうし、サーモセンサー等もコントローラ画面を利用してテレビ画面と重ね合わせながら敵等を見つける。テレビ画面の方には一切情報等の表示せずに出来るようになるのでテレビ画面にも注意しながらコントローラ画面の情報等を上手く利用して緊張感あるゲームを進める事が出来る。
あと、マリオの鬼ごっこも面白そうだった。
PS3とVITAも両機にインストールさせて同期を合わせながらやれば出来ると思うしぜひやってもらいたい。
XBOX360はKinectにこだわり過ぎて狭い室内の日本じゃ受けが悪い。
節電日本なら、今は置型よりテレビを必要としない、省電力のVITAや3DSが人気が出るでしょうね。3DSもソフトが出揃ってくればジワリと売れてくると思う。
置型の次世代機は現状では必要ないでしょうね、これ以上のソフト開発に費用が掛かり過ぎるし日本のソフト会社はさらに影が薄くなる。
@ドカンくんさん
目新しさがない、正にそれですね。PS3は今でこそ普通ですが発売当時はブルーレイプレーヤーとしてだけでも価値がありましたよね。それに比べるとWii Uは大丈夫かと心配になってしまいます。
@ころちゃんさん
ソフト開発は開発に汎用性を持たせて移植を容易にする方向になっているみたいですが、そうなったら「どのゲーム機買っても同じ」になってしまいますね。本体ではなくゲームコンテンツでもなく付加価値サービスでしか差がないと、本体安いもん勝ちになってしまうかもしれません。
@ころちゃんさん
>PS3とVITAも両機にインストールさせて同期を合わせながらやれば出来ると思うしぜひやってもらいたい。
PS3はPower PC 64bit,PS VitaはARM Corex 32bitです。
この2つは根幹から違う機械語を使っており、その連携はCPUに依存しないレベルでしかできません。
Java言語のようなものでも、逐一バイトコードから変換しています。
PS3でJavaができるようになっても、Vitaではまだまだパワー不足でしょう。
連携させるだけなら、個別にバイナリを用意すればいいので
CPUの種類も能力も本質的には関係ないです。
必要なのは据え置き本体側とつなぐもの(昔で言えば対戦ケーブル、今ならWi-Fi)だけ。
実際のところ携帯機で子画面連動は昔から難しくないです。
昔からというのがポイントで、実際モノクロGB+N64ぐらいのころから
ほぼ毎世代、この手のアイディアを任天堂は実験してましたが、どうにも微妙なままなんですよねぇ。
Wii Uの場合は良く誤解されますが、コントローラ側のモニターが
純粋なワイヤレスディスプレイ(処理機能を持たない)であることがハードウェア的にはトピックなんですが、
Wii+DSって圧倒的な普及台数の組み合わせでも目立った成果がなかった機能を
文字どおり本体を霞ませてしまうようなアピールに使うには、ちょっと厳しかったように思います。
恐らく、本質的な問題はWii Uのネーミングにも出てるようにこの世代のゲーム機は
改良世代になることは間違いないので、今までの経緯からすると
もともと任天堂が一番個性を出しにくいターンってことなんじゃないかと思っていますが。
FC→SFCとか、N64→NGCによくあらわれてますが
改良ターンの基本は、良くも悪くも基本性能の向上と相手陣営の取り込みです。
(実際E3のプレゼンを良く見ると、Wii Uや3DSにもモロこれが出ています)
改良世代自体が、もともと各ハードの個性がなくなって似たようなゲーム機とソフトが目立つようになる(PS2時代やらSFC時代やら)運命にあるので
結果として、個性をウリにしたい任天堂が沈みやすい時代でもあったり。
実際、新鮮がなくなって市場が硬直化しやすくなる時代(PS2やらSFCやらry)でもあるわけなんですが……。
@みゅーさん
デベロッパーサイドからマルチプラットフォーム化による移植の低コスト化は求められていたと思うので、その要求には応えていると思います。でもマルチプラットフォーム=本体はどれ買っても一緒=没個性化ということなのでユーザーにとっては痛し痒しです。
任天堂は1世代ごとに浮き沈みを繰り返してきているので、確かにWii Uと3DSは沈む番になる可能性は秘めてますね。だからこそキープコンセプトに市場が反応したのだと思いますが。
>みゅーさん
たとえば、そのバイナリデータを解釈するのが本来Wii U のプログラムであり、
それがサードパーティのものだったら、任天堂だけのサービスでは、そのデータを3DSで読み込むことができません。それにそれでは、PSPのUSB接続モードと同じで、ただの記憶デバイスとして機能するだけです。
例えば、DSでAボタンを押したことをWiiに伝えるとしましょう。
このとき、DSのアドレス0x02000130の値が変化します。これをWiiで読み込めるWiiのアドレスあたりにコピーし、そのデータをWiiが「このアドレスが変化したから、Aボタンを押したんだな」と解釈してくれます。
このようなデータの受け渡しなら簡単ですが、それがプログラムなら、翻訳作業が必要になります。PS3にしろ、今までのゲーム機にしろ、データを送り込んでいるだけです。ただそれでは両方のすべての性能を引き出すことはできません。