PSP go – ユーザーとソニーの思惑乖離〜当面PSP-3000現役へ

昨年のE3で衝撃的なデビューを華々しく飾ったにも関わらず、発売後すぐ販売不振に陥り浮上の兆しすら見えないPSP goについて、メーカーのトップ自ら「消費者動向調査のためのテスト的なモデル」だから売れなくても失敗製品ではないとの、購入したユーザー軽視の発言をしてしまいました。デジタルダウンロードオンリーという将来先取りコンセプトを受け入れようとしたユーザーに、落胆を与えただけの未来製品だったのでしょうか。今後のSCEの戦略を調べてみました。
【情報源:MCV

Go_After_Tomorrow

Sony: We’ve learnt a lot from PSPgo
ソニー: 「PSP goから多くのことを学びました」

SCEE president says UMD-free handheld was a test of consumer behaviour
SCEEの社長 UMDレス携帯ゲーム機は消費者動向を探るためのテストだったと言及

Though it’s looking unlikely that E3 will be the venue Sony chooses to unveil its in-development successor to the PSP, the platform holder has admitted that pioneering digital-only handheld PSPgo was a test for its future plans in the handheld sector.
PSPの後継機を開発していること発表する場としてソニーがE3を選ぶとは思えなくなってきていますが、代わりにメーカーサイドがデジタルオンリーのパイオニアとなった携帯ゲーム機PSP goについて、今後の携帯ゲーム機のあり方を探るためのテストケースだったことを認めました。
Sony has never released sales numbers for the machine. When asked if it regards the PSPgo as a sales success, SCEE president and CEO Andrew House replied: “It was introduced in a mature lifecycle to learn more about what the consumer wanted and we’ve definitely learnt a lot.
ソニーは現時点までそのゲーム機の販売数を発表していません。SCEE社長兼CEOのAndrew House氏は以下のように話しました。
「成熟した環境にある市場で消費者が望むものをPSP goとして提案しました。その結果、多くのことを学ぶ結果となりました。」

“Is that measured by success in sales? I don’t think it is.
「販売的に成功したかで判断?そうではありません。」
“One of the reasons we launched PSPgo was to understand where that consumer behaviour was going. We were getting signals from consumers that this was the kind of device that they wanted. But we need to recognise that consumers like their packaged media library.”
「PSP goを発売した理由の一つに、消費者動向の調査がありました。PSP goのようなデバイスを消費者が望んでいるという消費者の意向は我々に届いていました。しかし結果として消費者はUMD形態のようなパッケージメディアライブラリーを好むのだということを認識せざるを得ません。」

発売当初から26,800円という携帯ゲーム機としては法外に高額な価格設定をしてきたことから、違法コピー対策としてバッテリーのサービスモードの利用も出来ないような設計にした上で、ファームウェアも今までのPSPとは別にしたダウンロードオンリーのデバイスが本当に有効かどうかを判断するためのテストマシンではないかとの憶測も流れました。それが爆発的に売れたうえにハックされてしまったら本末転倒であるため戦略的価格を設定ぜず利幅をきちんと取った上で価格を決めたのではないかというものです。

実際PSP goのバッテリーが交換不可な理由はパンドラバッテリー対策だったことはSCEAハードウェアマーケティングディレクターのJohn Koller氏が明らかにしています。
欧州でもそういった話は当然SCEEのトップも認識しているはずですが、今回出てきた話は消費者目線で簡単に言うと、

消費者に高いお金を払わせて、申し訳ないが将来性についての提案など考えていないデバイスを購入してもらってテスターをやってもらった

ことに他なりません。

ハッカー対策から市場調査まで、最初から最後までその効果を計るテスト的な販売だったことになります。

PSP goを購入したユーザーは、これからはダウンロード販売をソニーが主要な柱に据えていくことを信じて先陣をきったつもりが、待てど暮らせどUMD中心の販売形態のまま、高いダウンロード価格設定は是正されず遂には週間販売台数が日本では3桁にまで落ち込んでもなんら販売促進もしない「死に体」デバイスへと成り下がってしまったことに気が付いています。今PSP goユーザーが楽しみにしているのは最近発見されたcoyotebean氏のカーネルモードexploitとPatapon2 exploitを利用したHalf Byte Loaderの開発進展のみといった状況です。この数ヶ月ファームウェアアップデートでPatapon2のusermode exploitを対策してこないのはソニーが良心の呵責に苛まれた結果に違いありません。

さて、最初からソニーがPSP goを売れなくても構わない市場調査製品と位置付けていたことは、同時にE3で発表されたフラッグシップ機PS3Slimとたった数千円しか違わない価格設定(=収支バランスをとれやすくするため爆発的に売れなくても構わないかのような価格)だったことからも予想し得た範囲ではありました。

それでも市場動向を探りあぐねていた事実は以下のことから分かります。

PSP go発売直後に英国のマーケティング会社がPSP goのカラー展開調査をしていたことが明らかになっています。当時は予約購入した消費者が多数おり、順風な滑り出しであったように思えていた頃です。

PSP_Go_COLOR

調査にはソニーが明確に絡んでいたとの情報はありませんが、調査を行ったHall & Partners Europeはソニーと全く無関係ではなかったそうです。Hall & Partners Europeが無償で自社のためにそのような調査をすることは考えにくいですし、その後調査結果が何らかのメディアで報じられたりもしていませんので、ソニーがPSP goのカラーバリエーションを検討していた事実と見て間違いないでしょう。

実際ある情報筋から数ヶ月前、PSP goのカラーバリエーション化が検討されているという情報を得ました。ある程度までは計画が進んでいたようですが、カラーバリエーションを増やして投資をしても売れないと判断され、PSPgoのカラーバリエーション展開は残念ながら計画自体中止されたそうです。PSPgoに関しては現時点で進行中の計画も皆無だそうで、今後もしばらくは現行のブラックとホワイトだけになるようです。

PSP2の計画は進行しているようですが、現状の情報はPSP2がPSP go+スマートフォンというgo進化型とも言える内容です。「パッケージメディアライブラリーを好む」というPSP goを犠牲にしてまで得た教訓をどう活かすのか、その計画からは見えてきません。

かつてPSP-4000が開発中という噂はありましたが、実際には開発されているという情報はないそうです。現在目下開発中の新型機PSP2がパッケージメディア非採用だとすると、その教訓を活かすためにはPSP-3000の活用以外考えられません。

先述の情報筋からも、それを裏付けるような情報を得ました。

今後しばらくはPSP-3000の限定バージョン(特別色など)で需要を喚起する計画だそうです。更に、PSPの唯一のキラーソフトとも言える『モンスターハンター』シリーズの最新作『モンスターハンター 3』にも当然本体同梱限定版が計画されているようですが、同梱本体はPSP-3000で検討されているようです。

PSP-3000限定色

限定色展開が計画されているPSP(写真はPSP-2000の限定色)

新型PSP2と『モンスターハンター 3』を組み合わせればPSP2を購入するユーザーが増えるのは間違いありませんが、カプコンとSCEがそこまでジョイントしていないのは仕方がないのかもしれません。カプコンとしても既に市場規模が大きい現行PSPでモンハンを狙った方が確実ですから、一度PSP goで失敗しているPSPの新型機向けに『モンスターハンター』ブランドを生け贄にするわけにはいかないでしょう。

ますますユーザーとソニーの思惑がかけ離れていくようにしか見えない話ばかりです。

ここ最近PSPの販売台数が好調で各ゲーム機内でトップを維持しているようですが、PSPが売れているのは日本市場だけです。海外では日本ほど楽観的な状態ではありません。(データは6月5日発表の週間販売台数: VGChartzより)

Weekly Hardware Chart 05th June 2010

PSP2がE3で発表されず、3Dは既に盛り上がりすぎた感があり食飽ぎみ、PSP-3000の限定モデルと『モンスターハンター 3』だけが話題となると、ソニーは3DSやNatalで盛り上がるゲーム業界の中でしばらく取り残されそうな勢いです。

PSP go – ユーザーとソニーの思惑乖離〜当面PSP-3000現役へ” に対して1件のコメントがあります。

  1. NAKKAN より:

    goに関しては本当に最悪ですよね。
    PSP2は消費者のニーズに応えて欲しいですよね。
    でも、いつごろ発表されるのでしょうか。

  2. ミレイユ より:

    絶対にないと思いますけど、
    モンスターハンター3がPSPgoにプリインストールされてる同梱版とか…

  3. まもすけ より:

    PSP2発表はgamescom(2010年8月18日から22日:一般公開は19日から22日)か、東京ゲームショウ(2010年9月16日から19日:一般公開は18日から19日)だと言われています。

    でも呑気に夏まで発表しないで放置しておける状態ではないと思うんですけどね。

  4. まもすけ より:

    @ミレイユ

    現時点ではPSP-3000で検討されているそうです。
    今の「モンハンやろーぜ」と同じくプロダクトコード同梱ならあるかもしれませんが、本体までスペシャル塗装した限定版はgoでは出さないでしょう。もうgoはこのままいくと黒白で終わりかもしれませんね。

  5. 774 より:

    >パッケージメディアライブラリーを好む
    ケータイやiPhoneのアプリやアーカイブス等を考えると、ユーザーは
    パッケージにこだわっている訳では無いと思います。
    価格がほとんど同じ(量販店なら逆に安い)ならばそりゃパッケージを選びますよ。

  6. まもすけ より:

    @774さん

    そういうユーザーの声をAndrew Houseさんが感じとっていないのが問題なんでしょうね。

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